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赤岡ゼミ

赤岡ゼミと井上ゼミの3年生がMラボ「課題解決ラボ」に参加し、赤岡ゼミのチームが審査員特別賞を受賞しました!

2017/04/20

 赤岡仁之教授ゼミの3年生12名と井上重信講師ゼミの3年生5名が、平成28年10月29日(土)に神戸ハーバーランド・スペースシアターで開催された、Mラボ「課題解決ラボ」(主催:兵庫県、神戸新聞社)の公開プレゼンテーションに出場し、赤岡ゼミのチームが審査員特別賞を受賞しました。

 Mラボとは、大学生と地域企業のマッチングを目指す事業で、神戸新聞社と兵庫県中小企業団体中央会が実施主体となっています。Mラボの中核事業の1つに「課題解決ラボ」があります。この「課題解決ラボ」は、兵庫県内の中小企業が抱えるさまざまな経営課題について、大学のゼミ単位で調査研究してアイデアを提示するプロジェクトです。ゼミの専門性を生かし、学生の視点で課題解決を目指す事業として2013年から始まりました。今回は10企業の課題について、調査・研究を進めてきた10大学、17ゼミ、約240名の学生が20チームに分かれ、研究成果を発表しました。

 赤岡ゼミは布おむつやタオルなどのリネンサプライ業を手掛けているコーベベビー株式会社とのマッチングが決まり、井上ゼミは手延べ素麺「揖保乃糸」を製造・販売している兵庫県手延素麺協同組合とのマッチングが決まりました。

 赤岡ゼミの課題研究テーマは、「リネンサプライ市場の可能性とそのマーケティング戦略」。6月頃にゼミ生全員で本社を訪問し、直接社長から会社の歴史や現在の事業・課題の説明を受けました。説明を受けたゼミ生たちは、リネンサプライ業であるコーベベビー株式会社の主体がBtoB(企業間取引)であることから、一般の消費者に対する認知度が低いことと、競争の激化により今日のBtoB市場が成熟化していることが課題であると考えました。コーベベビー株式会社が市場の成熟化から脱していくために、法人のみならず個人に対してアプローチをしていくことで認知度を高めるとともに、リネンサプライ業の新しい可能性を掘り起こすマーケティング戦略を考案しました。

 ゼミ生はその案を8月に行われた中間発表で発表するも、「ターゲット設定が広すぎる」「競合している事業についても考慮すべき」などの厳しい指摘を受けました。その後、ゼミで何度も話し合いをし、検討を重ね、ターゲットと方向性を固めていきました。その結果、コーベベビー株式会社の認知度向上を目的に、将来の顧客予備軍となる20代女性(子育て予備軍=おむつ等)と50代女性(高齢者介護予備軍=介護用品)をターゲットに設定し、女性たちのご褒美消費に着目して、新商品の布製美容パック「Ecotton(エコットン)」をOEM販売するという提案に至りました。

 一方、井上ゼミの課題研究テーマは、「成熟市場における『揖保乃糸』のリブランド戦略 ~新たな商品価値の創造に向けて~」。兵庫県手延素麺協同組合は全国シェア一位を誇る「揖保乃糸」を製造・販売している手延素麺の老舗です。現在、全国シェア一位ではあるものの、ライフスタイルの変化や食の多様化などに伴い、将来的にさらなる発展は厳しい状況にあるとゼミ生たちは考えました。そのため、「揖保乃糸」のリブランディング(ブランドを再生させる)することを念頭に、マーケティング・コミュニケーションの視点から研究を進めました。

 ゼミ生たちはまず、企業との話し合いやアンケート調査などを実施。その結果、主婦層には家族の夏の定番料理として定着しているものの、若年層には自ら進んで食べようとしないという現状が明らかになりました。そこからゼミ生たちはさらに未婚率の増加や夏の食べ物の多様化に伴い、今のままでは消費の拡大が見込めないと考えました。そこで、今までにない取り組みをし「揖保乃糸」の伝統的なブランドイメージを守りつつ、新たな共有価値を創造し、付加するリブランディングの戦略として、新たな需要の掘り起こしが期待できる「LGBT応援活動」を同社に提案し、LGBT層を起点として広がる消費スタイル「レインボー消費」に着目しました。

 LGBTとは女性同性愛者(レズビアン)、男性同性愛者(ゲイ)、両性愛者(バイセクシュアル)、性同一性障害を含む性別越境者など(トランスジェンダー)の人々を意味する頭字語をとった性的少数者の総称の一つです。また「レインボー消費」とはLGBTを取り巻く市場全般のことで、近年、注目するべき新たな流行として話題にされています。
 さらにLGBTを個性として認め、応援する「LGBTフレンドリー」として様々な企業がこの取り組みに参加していますが、国内の有名食品メーカーではまだ「LGBTフレンドリー」に取り組んでいる企業がないため、今がチャンスであるとゼミ生たちは考えました。

 また近年の消費者の購買プロセスはインターネットが中心で、SNSを通していることが多く、ゼミ生たちはLGBT層と一般層のどちらがよりSNSを利用しているかのアンケート調査を行いました。その結果、LGBT層が一般層よりもSNSの利用頻度が高く、情報発信力も高いということがわかりました。したがって、LGBT層による情報・メッセージ・行動は若者に興味関心を与えるきっかけになると考え、情報発信者のLGBT層に「揖保乃糸」を広めてもらうために、LGBT応援のカラーである6色レインボーを使用した色鮮やかな「素麺ギフト」の販売を考案し、また「揖保乃糸」は素麺シェア、認知度No.1であることから、素麺市場のマーケットリーダーとして「LGBTフレンドリー」企業となり、社会に影響を与えることができ、かつSNSでのイベントやキャンペーンを実施することにより、消費者との接点が増え、リブランディングになることを提案しました。

 そして両ゼミは、平成28年10月29日(土)に神戸ハーバーランド・スペースシアターで開催された公開プレゼンテーションに挑み、見事、赤岡ゼミのチームが審査員特別賞を受賞しました。
 赤岡ゼミの発表についての講評では「ターゲットを顧客層の手前の年代に設定している」「女子大生ならではの商品(布パック)」など発想の豊かさが評価されました。

 赤岡ゼミ生たちは「実際に経営している企業の方たちと話し合ったことで、自分たちの視点だけでなく、企業の視点や考え方を知ることができました。また実践的な課題解決ができ、評価をしていただけてとても嬉しかったです」「12人で一つの課題に取り組むので、役割分担のバランスをとるのがとても難しかったですが、ゼミ生全員で目標に向かって課題に取り組む経験ができて良かったです」と話しました。

 井上ゼミのチームは惜しくも入賞を逃しましたが、ゼミ生たちは「消費者の企業イメージや素麺に対する固定観念が強く、どう変えていくか、課題を見つけるのに時間がかかりましたが、何度か企業との話し合いをして、メーカーの製品づくりの過程を知り、課題解決のテーマを決めることができて良かったです」と話し、また発表の際の感想を聞くと「発表するときは、資料を見ずに審査員の目を見ながら話すことを意識しました。それにより、熱意をもって話すことができました。また会場がオープンスペースと、普段の発表会ではあまりない形式で、審査員だけでなく通りがかりの一般の方も見ることができるようになっており、特別な経験が出来ました」と話してくれました。

 今回の参加は、実際の課題解決を通じて、社会人基礎力の向上にも役立つ、貴重な経験となりました。

 

赤岡ゼミ発表の様子

赤岡ゼミ発表の様子

受賞の様子

受賞の様子

赤岡ゼミ3年生

赤岡ゼミ3年生

井上ゼミ発表の様子①

井上ゼミ発表の様子①

井上ゼミ発表の様子②

井上ゼミ発表の様子②

井上ゼミ3年生5名

井上ゼミ3年生5名

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