赤岡仁之教授ゼミの3年生12名と井上重信講師ゼミの3年生5名が、PBL(Project Based Learning)の実践として、4月~10月までの約半年をかけて、Mラボ「課題解決ラボ」に挑みました!
Mラボとは、大学生と地域企業のマッチングを目指す事業で、神戸新聞社と兵庫県中小企業団体中央会が実施主体となっています。Mラボの中核事業の1つに「課題解決ラボ」があります。この「課題解決ラボ」は、兵庫県内の中小企業が抱えるさまざまな経営課題について、大学のゼミ単位で調査研究してアイデアを提示するプロジェクトです。
参加にあたっては、まず、ゼミの研究テーマなどを記したエントリーシートを提出します。そのエントリーシートをもとに、実行委員会が企業と大学ゼミとのマッチングを行います。提案内容を濃いものにするため、テーマ(企業が抱える課題)に即した研究を行っているゼミが優先的に選ばれます。マッチングが成立したゼミは企業を訪問し、経営者や担当者とのディスカッションを行って研究課題を決定します。その後、中間発表を経て、最終発表の場である公開プレゼン大会で、それまでの研究成果を発表するという流れになっています。
エントリーしても企業とのマッチングが成立しないゼミもある中、赤岡ゼミと井上ゼミはこれまでの研究成果が評価され、マッチングが成立し、調査研究をスタートさせました。赤岡ゼミがマッチングされた企業は、老舗菓子メーカーである株式会社本高砂屋、井上ゼミがマッチングされた企業は、オートサプライヤー事業やリファイン事業(住宅リフォーム等)を手掛けている株式会社サンエースです。
赤岡ゼミは、6月に初めて本高砂屋を訪問しました。企業の現状や抱えている課題を把握するため工場見学を行い、ディスカッションを重ねました。その中で、(1)同社の「贈答用市場」の伸びなやみ、(2)若者の知名度の低さ、(3)消費者ニーズと同社との認識の差について課題を抱えていることがわかり、赤岡ゼミの研究テーマを「老舗菓子市場における今日的なコンテクストマーケティング戦略」に設定しました。
コンテクストマーケティングとは、コンテンツ(提供内容)はそのままに、コンテクスト(提供方法)を変え、その価値を高めていくというマーケティング戦略です。これは、同社からの「今ある商品自体やパッケージには強い思い入れがあるため、変更は加えたくない」という思いを受け、考案した戦略です。課題解決策を検討するにあたり、述べ500人にアンケート調査を実施、家族の在り方やギフト関連の文献調査も行いました。また、「家族で食べてもらいたい」という同社の思いも受け、「つなぎふと(相手にプレゼントすることで繋がりが生まれるギフトのこと)」をキーワードに、新しい販路の提案、商品の組み合わせを自由に選べるという新たな販売方法の提案をしました。
一方、井上ゼミも、6月に初めてサンエースを訪問しました。企業とのディスカッションを重ねていく中で、同社の掲げる「皆揃って幸せになりたい」という基本精神に基づき、同社が展開する事業の一つであるリファイン事業を成長させるという目標のもと、井上ゼミの研究テーマを「リファイン事業の新たな価値創造戦略提案」に設定しました。
7月から本格的に調査研究を開始し、PEST分析による情報収集や現地現物重視のゼミの特徴を活かし、同社の事業所がある地域に学生たち自ら足を運び現地調査も行いました。さらに、同社の社員や実際に同社へ住宅リフォームを依頼した顧客にもインタビューを行いました。その中で、近年、社会問題となってきている空き家問題に着目しました。同社の事業所がある地域でも空き家が増加傾向にあるにもかかわらず、空き家対策が行われていない現状を知り、若者を呼び込むことで地域の活性化を見込め、リファイン事業の強化も図れるシェアハウス事業への参入を課題解決策として提案しました。この事業を提案するにあたり、井上ゼミ生たちはシェアハウス事業を行っている企業へのヒアリング調査や実際にシェアハウスでの宿泊体験にも行きました。
そして両ゼミは、8月の中間発表会を経て、平成27年10月24日(土)に神戸ハーバーランドスペースシアターにて行われた最終発表の場である公開プレゼン大会に挑み、これまでの研究成果を発表しました。
公開プレゼン大会では、論理性、実現可能性、独自性、情報収集力、プレゼン力を基準に評価され、参加した10大学20チームの中から優秀チームが表彰されました。両ゼミは、惜しくも入賞を逃しましたが、ゼミ生にとって大学では知ることのできない、県内のさまざまな中小企業が抱える課題を知る機会となりました。
赤岡ゼミ生は「企業が抱えるリアルな課題を目の当たりにし、いい勉強になった」「大学での授業と違って企業のことを考えながら行動することは難しかったが、いい経験になった」「相手に伝わる話し方や大勢の聴衆の前でのプレゼンテーション方法を学べた」と話してくれました。
井上ゼミ生は「聞き手に上手く伝わるようなプレゼンテーションの構成・話し方をすることが難しかった」「他大学の着眼点や研究の掘り下げ方の違いに刺激を受けた」「企業の方との接し方やビジネスマナーなど、今後の就職活動において役立つことが学べた」と話してくれました。
今回の参加は、実際の課題解決を通じて社会人基礎力の向上にも役立つ貴重な体験となりました。
赤岡ゼミ 本高砂屋を訪問
最終発表会場の様子
赤岡ゼミ 最終発表の様子1
赤岡ゼミ 最終発表の様子2
赤岡ゼミ 最終発表の様子3
赤岡ゼミ3年生
井上ゼミ シェアハウスでの宿泊体験の様子
井上ゼミ 最終発表の様子1
井上ゼミ 最終発表の様子2
井上ゼミ 最終発表の様子3
井上ゼミ 最終発表の様子4
井上ゼミ3年生