新年度が始まって約二か月経ちましたが、コロナウィルス蔓延の為におうち時間が長くなり、家に居る時間が暇だなと感じる方も多いのではないでしょうか?
そんな方に、私が是非ともお勧めしたい漫画を紹介します。
その漫画とは、山口つばさ先生が描かれている、『ブルーピリオド』という作品です。この漫画を一言で表すのであれば、「スポコン美術漫画」という言葉で表すことができます。
成績優秀、世渡り上手。飲酒喫煙夜遊び好きだが、人望もある高校2年生の矢口八虎は日々手ごたえの無さを感じていた。そんな時、いい点をくれるからといった理由で受けていた美術の授業後、自分の煙草を忘れていたことに気づき、慌てて美術室に取りにいく。そこで、ある上級生が描いた大きな一枚の絵を見つけることに。
その絵をきっかけに美術について関心を持ち始め、国立の美術大学であり、東京大学よりも入学するのが難しいと言われている、東京藝術大学進学を志すといった物語です。
私がお勧めするポイント
①リアルすぎる美大受験ストーリー
作者である山口つばさ先生も、東京藝術大学を卒業しているため、厳しい美術大学の背景が忠実に描かれています。好きなことほど、好きだと言えなくなってしまうことや、好きなことをやり続けることの難しさ。努力しても報われないこともあること。それでも、前を向いて頑張る八虎の姿を見ると感動するので、読んでいる側も当事者のように共感することができて、自分も何かに夢中になりたくなってしまうこと間違いなしです。夢中になれるものがない人ほど、今、読んでもらいたい作品です。
②キャラクターたちの深い言葉
『ブルーピリオド』の登場人物たちの言葉は、読んでいる側が考えさせられる言葉ばかりで、その言葉に背中を押してもらった経験があります。八虎が美術大学に進学するか、美術は趣味にするべきかで悩んでいた時に、高校の美術の先生に言われた、「好きなことは趣味でいい。これは大人の発想だと思いますよ。誰に教わったのか知りませんが、頑張れない子は好きなことがない子でしたよ。」※という言葉には、八虎だけではなく私自身も救われました。『ブルーピリオド』には、まだまだ深いなと感じる言葉がたくさん出てきます。きっと、あなたの心にも突き刺さる言葉に出会えると思います。
③いろいろな面で注目されている
2020年には書店員がお勧めするマンガ大賞で大賞を受賞。若者に人気のあるアーティストのYOASOBIが『ブルーピリオド』の世界観を意識してヒット曲である「群青」を作詞作曲。ブルボンのアルフォートとのタイアップ。そして2021年10月には、TVアニメの放送が開始されるなど、様々な面から注目されている作品でもあるのです。
最後に、何かを始めるのに遅すぎることなどはないと気付かせてくれ、読んだ人に一歩踏み出す勇気をくれる『ブルーピリオド』。是非、おうち時間のお供にいかがでしょうか?
参考文献
■山口つばさ(2017)『ブルーピリオド』 講談社 月刊「アフタヌーン」掲載中
■TVアニメ『ブルーピリオ』公式サイト https://blue-period.jp
※ 山口つばさ(2017)『ブルーピリオド』 1巻106,107頁 講談社