こんにちは。とーやです。春の始まりで新たな年度が近づく季節となりましたね。
今回のエッセーでは、シミュレーションゲーム『文豪とアルケミスト』と神戸市灘区にある神戸文学館がコラボした企画展「蘇る神戸ゆかりの文豪たち」について、書こうと思います。
『文豪とアルケミスト』略して『文アル』とは、架空の日本で文学が消失する現象が起き、その危機に対処するために名を残した文豪たちが「アルケミスト」と呼ばれる能力者によって転生し、侵蝕者と呼ばれる敵を倒していくゲームです。私は去年、「近代文学を読む~『文豪とアルケミスト』に寄せて~」(URL:https://dim.mukogawa-u.ac.jp/12026)というエッセーを書いていますので、そちらも良かったら読んでみてください。
文アルは実在の文豪をモチーフにしているため、過去にも何度か全国各地の文学館でコラボイベントが開催されていました。今回コラボする神戸文学館は、神戸出身の文学者だけでなく、神戸を訪れたことがある文学者についての展示も行われています。常設展でも、神戸にまつわる文学者の紹介と物品が展示されており、司馬遼太郎や遠藤周作の原稿などがありました。
企画展では、小泉八雲・夏目漱石・正岡子規・高浜虚子・谷崎潤一郎・江戸川乱歩・堀辰雄・横光利一の8人がピックアップされていました。ゲーム内の立ち絵を使った実寸大パネルと、その文豪が神戸を訪れた時のことや、神戸について書いた作品があるという風に、神戸とどんな縁があるのかが紹介されています。特に、夏目漱石と正岡子規の2人が神戸を訪れた時のことを記した展示は、二人にとって神戸という街がどのように見えたのか、それぞれ違った視点でうかがえて興味深かったです。
これは、企画展の集合絵パネルと企画概要のパネルです。右のパネル前に置かれているガラスケースの中には文アル関連の書籍や、「文豪と友情」、「文豪と着物」など、文豪と○○というコンセプトの書籍が展示されていました。文豪を作品から深掘りしたり、文豪同士の関係性や文豪にまつわるものから人間性を知っていったりと、文学作品とその作者を知る手段は多様になっていると感じました。
私は明治以降の時代では、文化の中心地は東京に移り、文豪ゆかりの地や文学館も関東地方が充実している印象を抱いていましたが、神戸という一つの街だけでも多くの文学者が訪れていることを今回初めて知りました。なかなか旅行にも行けない自粛期間が続く中ですが、まずは身近な所から文学者のことをもっと知っていきたいと思います。
神戸文学館の受付の方にお願いすると、文アルのオリジナルブックカバーをもらうことができます。先着順でなくなり次第終了ですが、私ももらうことができたので、近代文学の作品を読むときに使ってみようかと思います。
今回のコラボは5月22日までと開催期間が長いため、期間中にもう一度行くつもりです。この記事を読んで、行ってみようかなという気持ちになってくれた方がいたら、嬉しいです。
参考URL:
・DMM GAMES「『文豪とアルケミスト』公式サイト」https://bungo.dmmgames.com/(2022年2月23日アクセス)
・神戸文学館「神戸文学館 公式サイト」http://www.kobebungakukan.jp/(2022年2月23日アクセス)