初めまして、2年生のソルトとペッパーです。2人とも今回が初めての投稿になります。これからよろしくお願いします!
私たちは後期の授業も終わりに近づいていたある日、武庫川女子大学の教育支援システム「MUSES」で舞台技術研修が開催されることを知りました。2人とも、前から舞台での仕事に興味を持っていたので参加を決めました。という事で今回は滋賀県にある、県立芸術劇場びわ湖ホールで2月15日(月)~20日(土)に開催された「びわ湖ホール舞台技術研修 ~人材育成講座~」について紹介します。
びわ湖ホール
これは舞台を担う人材の育成を目指して開催しているもので、舞台関係者・大学生や海外の方、約40人と、京都造形芸術大と成安造形大の学生が大学連携として参加しました。
参加者は舞台の転換操作などを学ぶ舞台機構コース、照明機器の設置・使用を学ぶ舞台照明コース、公演時の音響の準備・マイク取り付けを学ぶ舞台音響コース、舞台進行の補助・出演者のサポートの仕方を学ぶ舞台進行コースの4つのコースに分かれて、約1週間研修を受けます。私たちは舞台進行コースに参加しました。この研修の最終日には、実際にお客さんを招き入れて公演を行いました。
1日目は参加者全員で開講式や最終日に行う公演の台本の読み合わせなどを行いました。
2日目、3日目はそれぞれ希望したコースに分かれ、講座が行われました。私たちが選んだコースの講師の方は、普段びわ湖ホールで舞台監督をしている方で舞台監督の仕事や舞台装置の説明が行われました。舞台で使う幕を設置したり、公演の時に使う小道具を用意する場所や出演者の立ち位置を決めるための「バミリ」という印を舞台上につけることをしました。「バミリ」はただ印をつけるのではなく、ここに印をつけて観客から小道具がちゃんと見えるか、出演者がここに立って演技しやすいかなど多くのことを配慮しながらつけなくてはいけませんでした。他にも、出演者の気持ちを学ぶために舞台進行コースと舞台機構コース合同で「大きなかぶ」の劇もしました。演者・朗読・音楽の3役に分かれ数時間練習しました。ソルトは音楽を、ペッパーは演者を担当しましたが、演者の動きと朗読の声と効果音を合わせるのはとても大変で、知っている話でも1つの劇を作り上げるのは難しいものだとわかりました。
4日目はテクニカルリハーサル実習がありました。テクニカルリハーサル実習は、基本的に本番の公演の通りに行いますが、気になったところがあればその都度止め、改善していきます。そうすることで全体の流れをつかみつつ、不十分なところを把握していくという実習でした。
今回の舞台のストーリーは、「俵藤太(たわらのとうた)のムカデ退治」という滋賀県に伝わる民話をアレンジしたものです。題名の通り、俵藤太というとても強い男が凶悪なムカデ大王を退治するというお話です。そして今回の舞台は、観客参加型というものでした。普段私たちが舞台を見るとき、ストーリーの途中で会場全体が暗くなり、場面が転換する暗転というものをご存知でしょうか? 今回の舞台では、その暗転の代わりに舞台上や舞台裏など様々な場所に設置されたステージで繰り広げられるストーリーをお客さん自身に回ってもらい、場面転換を行いました。
そして、5日目にはゲネプロが行われました。ゲネプロというのは本番の前日等に本番と同じ条件で行われる最終リハーサルのようなものです。ソルトは主に出演者の誘導を、ペッパーは主に「星の工場」という場面で星に見立てた電球をつけたネットを天井に吊り上げる作業と、出演者の誘導の補助を行いました。お客さんを実際に招き入れての本番さながらの緊張感でゲネプロは行われました。始まる前はとても緊張していましたが、お客さんの楽しそうな反応や歓声を聞けたことで少し心に余裕ができ、私たち自身も楽しんでゲネプロを終えることができました。
そして最終日、本番です。前日のゲネプロのおかげで緊張しすぎることはなく、程良い緊張感とわくわく感を持って臨むことができました。ゲネプロの時のお客さんは企業の方々でしたが、本番は子どもたちと保護者の方々でした。子どもたちがどんな反応をするのかが全くの未知数でみんな不安でしたが、とても素直にいうことを聞いてくれる子どもたちばかりでスムーズに進行が出来ました。また、ペッパーが担当していた「星の工場」という場面のエリアでは拍手と歓声ももらうことができてとても嬉しかったです。公演終了後は外に出て来てくださったお客さんを見送りました。その時にも「楽しかった!」という声をたくさん聞くことができ、たくさんの笑顔も見ることができて、私たちも自然と笑顔になれました。
こういった研修に参加するのは今回が初めてでしたが、実際にプロの方々が働いている現場に立たせて頂けたり、舞台の裏側も見せて頂けたりと、本当に貴重な経験がたくさん出来ました。最初は舞台の環境や雰囲気にも全く慣れず、覚えなければいけない段取りや自分で考えて行動しなければいけない場面も多く、大変でした。ですが、プロの方々にたくさん助けて頂き、友達と支え合うことで乗り越えることが出来ました。それだけではなく、一つの物をみんなで協力して作ることで団結力も深まり、一緒に行った友達以外にも、年齢も国境も越えて様々な人と交流を持つことが出来ました。こういったところもこの研修の魅力だと思いました。本当に毎日が充実していて楽しくて、終わってしまったのがとても寂しく感じました。今まで学んだことのない舞台のことをたくさん学ばせて頂き、様々な人との交流の輪も広げることが出来て、参加して本当によかったです。来年も是非参加したいと思います。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
劇中で使用した小道具
地図(この地図の順にお客さんにステージを回ってもらう)
クライマックスで登場するムカデ大王(奥)、ボーヤワールドで登場する飛び出しボーヤ(手前)