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大人がハマる! エドワード・ゴーリーが描く絵本の世界/AKI(2年)

 はじめまして、2年生のAKIです。みなさんは、エドワード・ゴーリーという絵本作家をご存知でしょうか。え? もう大学生なんだから絵本なんて読まない? いいえ、エドワード・ゴーリーは子ども向けの絵本ではなく、大人向けの絵本を書く作家なのです。私は、大学生になってから本格的にゴーリーの絵本を読みはじめましたが、今ではゴーリーの描く独特な世界観に魅せられ、大ファンになってしまいました。
 そして今回は先日、伊丹市立美術館で2016年4月2日から5月15日まで開催された原画展「エドワード・ゴーリーの優雅な秘密」の魅力についてご紹介します。

第1章の入口
第1章の入口

 

 まず、なぜゴーリーの絵本が大人向けなのかをご説明しましょう。簡単に言うと、大人が子どもに見せたくない内容だからです。子どもに読ませられないから、大人が読むのです。ゴーリーの絵本には道徳というものがありません。絵本の中ではさまざまな人物が善悪関係なく不幸になっていきます。実際の殺人事件を題材にした絵本もあるほどです。しかし、残酷な内容とは裏腹に韻を踏むリズミカルな文章は、爽快な気分にもさせてくれます。そんな文章も魅力的ですが、絵本作家ゆえに注目するのはやはり「絵」。ですがそれは原画展の紹介の中でご紹介させていただきます。

 それでは本題の原画展についてですが、今回の展示では、世界各地を巡回した原画展を元に、個人コレクターの収蔵品や、貴重な原画、草稿、書籍など、約350点が展示されており、それらの展示は第1章、第2章、第3章とまるで物語のように章立ててブースが分かれていました。

 第1章では、「ゴーリーによるゴーリーの世界」というタイトルが付けられ、ゴーリーの歴史をたどり、2000年に心臓発作で亡くなるまでに出版した絵本やタロットカードなど約100点が展示されていました。中にはまだ日本語訳されていなかったり、本屋さんでは取り扱っていない物もあったり、また私の読みたい本リストに名前が増えることになりました。『うろんな客』や『ギャシュリークラムのちびっ子たち』などの代表作は、武庫女子大学の図書館でも所蔵されています。ただ、まだ翻訳されていないものなど、代表作以外の本は所蔵されていないので、ぜひ所蔵して欲しいものです。

 第2章「イギリスの詩・文学とゴーリーの挿絵」では絵本の原画が展示されていました。
 ゴーリーの描く絵は基本、モノクロを基調としていて、べた塗りはほとんどせず、主に線だけで表現します。その線は息が詰まりそうになるほど緻密なもので、登場人物の不幸を表しているようにも見えたり、虫がうごめいているようにも見えたり、はたまた砂嵐のようにも見えたりします。その得体の知れない生き物のような線が見ている人々を不安にし、そして惹きつけるのです。原画では、印刷による線のにじみがなく、本来の線の細さを見ることができたので、それがより鮮明に感じられました。そのため、私は、第2章のブースに入った瞬間に、絵の不気味さにより気分が悪くなりました。第1章でも似た不安は感じていましたが、第2章では、それが色濃く、より鮮明に感じられたのです。原画には印刷用のインクにありがちな照りがなく、薄暗い照明が当てられた絵の一つ一つが光を吸収し、闇に変えているように見えました。そこに希望など一つもなく、ただただ、誰かが不幸になっているか、これから起こる不幸を待ち構えているように感じられました。

『ギャシュリークラムのちびっ子たち』の挿絵
『ギャシュリークラムのちびっ子たち』の挿絵

 

 最後の第3章は第1章と第2章とは別の階に展示されていたのですが、そこで思わぬ客に出会いました。それは、「うろん」です。「うろん」とは、『うろんな客』という作品に出てくる不思議な生物であり、正式な名前は無いので、そう呼ぶ人が多いそうです。ゴーリーの作品の中では珍しく、人があまり不幸にならない作品で、その愛らしい姿に先ほど第2章で味わった不安が少し和らぐようでした。

窓から外を見つめる「うろん」
窓から外を見つめる「うろん」

 

 第3章「ゴーリーの多彩な創作と舞台美術」は、過去に手がけたポスターや雑誌の表紙、ゴーリーが自身の母に送った手紙など、カラーの作品が数多く展示されていました。ゴーリーといえばモノクロのイメージを私は持っていましたが、着色された作品でもゴーリーの作風は壊されず、新たなゴーリーを見ることができたので、新鮮な気持ちで楽しむことができました。

 既に伊丹市立美術館での展示は終わってしまいましたが、この伊丹市立美術館での展示を皮切りに約二年という時間をかけて全国を巡回するそうなので、興味のある方は足を運んでみてください。また、絵本は市立の図書館などにもあるかもしれませんので、気になった方は最寄りの図書館にお問い合わせください。この機会にぜひ、不安で不快で謎に満ちたエドワード・ゴーリーの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか。

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