みなさん、こんにちは。吉です。
日に日に寒さが増していきますね。私の周りでも「風邪を引いてのどが痛い!」という方がちらほら出始めています。「病は気から」とも言いますが、日ごろの手洗いうがいが一番! これからの季節は風邪やインフルエンザには気を付けなければいけませんね。
さて、今回のお話のテーマは「鈴」。前回のお話(123号:日本再発見!? 「刀剣乱舞」の世界から/吉(4年)http://dim.mukogawa-u.ac.jp/gakusei/2297)に引き続き、DMMゲームズが提供している『刀剣乱舞‐ONLINE‐』のお話も織り交ぜてお話ししていきたいと思います。
今回、私が鈴をテーマにしたのは、家族から京都のお土産として鈴のストラップをもらったことがきっかけでした。
京都のお土産の鈴
私はまず初めに鈴の装飾に注目しました。下の写真を見てください。この鈴の周りにあるくねくねとした紐がありますね。写真では金色の丸い鈴の周りを、金と白の紐が取り囲んでいます。
私がもらった鈴
この紐は水引と呼ばれる飾り紐だそうで、鈴が入っていたパッケージの裏を見ると水引についての説明書きがありました。それには「水引とは不浄を清めるとされ、お祝い事や節句の飾りに用いられます。その結び目に、贈る心、もてなしの心が籠められた、我が国に古くから伝わる伝統工芸です。」と書かれていました。紐の結び方にもおもてなしの心が込められているのですね。
パッケージの裏の説明書き
水引というと、冠婚葬祭の場で目にすることが多いでしょうか? 祝儀袋にもきれいに装飾された水引がついているものがたくさんあります。
家にあった祝儀袋
さて、鈴に話を戻しましょう。私が特に気に入っているのが、見た目に劣らないきれいな音色です。
一般的に、鈴の音色を擬音語で表現すると「リンリン」や「チリンチリン」ですよね。しかし、この鈴は「シャランシャラン」という音がするのです! ほかの鈴とは違い、ずっと聞いていてもうるさくない不思議な音色に、思わずうっとり……。音色を聞くと癒されるような、また背筋がピンと伸びるような、なんとも神秘的な鈴です。
そこで、きれいな鈴の音に魅かれて、鈴について検索サイトで調べてみました。すると、鈴は神具として用いられており、神社の参拝時に鳴らす大きな鈴(本坪鈴/ほんつぼすず)や、巫女が神楽舞(かぐらまい)をする際に鳴らす手持ちの鈴(巫女鈴、神楽鈴)について記述されていました。そこで思い出したのがアニメ『刀剣乱舞‐花丸‐』第一話に登場した下の画像の鈴。この鈴は、アニメに登場する刀剣男士(とうけんだんし)のへし切長谷部(織田信長が所有していた刀)が他の刀剣男士を集合させるときに鳴らしていた鈴です。
本坪鈴と巫女鈴を合わせたような鈴
本来、神道では鈴の音は魔除けや厄除けをする力があるとされており、神社で本坪鈴を鳴らすのは神様に対しての「参拝者が来ましたよ」という合図ではなく、鈴の音自体が神様に対するお供え物の意味を持っているそうです。鈴の音は人間だけではなく、神様の御心をも慰める神聖なものなのですね。神社でお願いごとをする際に、手荒にガランガランと鳴らさず、神様にお供えをする気持ちで鳴らさなくてはなりませんね。
一方、アニメでは鈴は刀剣男士を集めて話をする場面で使用されていました。神道で使用する意味とは少し違うようです。この鈴を一つひとつ見てみると、アニメに登場する刀剣男士の紋が刻まれています。刀剣男士たちとその主である審神者(さにわ)は、平屋のような本丸(城主が暮らす屋敷)で刀剣男士と生活を共にしているようです。アニメにおいてこの鈴は、日本刀の付喪神である刀剣男士同士、またその刀剣男士と暮らす審神者が精神的な繋がりを持つための神具としての役割を担っているのかもしれません。
また、鈴と刀剣男士というと、小狐丸(こぎつねまる)の柄頭(つかがしら)という柄の先端にある金属製の部品や鳴狐(なきぎつね)の下げ緒という刀を帯に巻くための紐にも小さな鈴がついています。小狐丸には能の演目の『小鍛冶(こかじ)』にもなっている有名な逸話があります。では、太刀の小狐丸の逸話を簡単にお話ししましょう。
平安時代、刀を作れという一条天皇の勅命を帯びた刀工である三条小鍛冶宗近(さんじょうこかじむねちか)が狐の精霊の姿をした相槌稲荷明神の力を借りて刀(小狐丸)を作り上げる、というお話です。なんとも微笑ましいエピソードですね。
一方、鳴狐は少しおどろおどろしいお話です。鳴き狐の号(刀の名前)の由来は明らかではなく、諸説あるようですが一説には、障子越しに怪しい影を一刀両断すると、狐の声がしたから、とあります。
なんにせよ、小狐丸は狐の精霊の姿をした相槌稲荷明神が相槌を打った神聖な刀、鳴狐は狐の妖を切った破魔の刀です。刀や衣装に鈴がついている刀剣男士はどちらも狐と縁のある刀なので不思議です。二振りとも神様と人間との距離を縮めたり、人間を得体の知れないものから守ったりするというところで鈴が付けられているのかもしれませんね。
小狐丸の柄頭の鈴(上)と鳴狐の下げ緒の鈴(下)
さて、鈴のお話はいかがでしたか。前回の紋や文様についてのお話より身近なテーマにしたつもりだったので、楽しんでいただけていたら幸いです。
今回は冒頭でお話しした水引について興味を持ったので、また次回があればそちらのお話をしたいと思います。また、前回のお話(123号:日本再発見!? 「刀剣乱舞」の世界から/吉(4年)http://dim.mukogawa-u.ac.jp/gakusei/2297)についても興味があればぜひご一読ください。
では、みなさん風邪を引かないようにお過ごしください。
参考文献
・刀剣乱舞、刀剣男士について
公式設定画集『刀剣乱舞絢爛図録』
発行人:でじたろう
発行所:株式会社ニトロプラス
・刀剣、刀剣の逸話について
『刀剣物語』
発行人:野上龍二
編集人:東由士
発行所:株式会社英和出版社
・鈴について
Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4
・神社と鈴について
石川県神社庁
http://ishikawa-jinjacho.or.jp/trait/index.html
神社ナビ
http://www.jinja-fan.com/010shrines/002.html
・相槌稲荷神社について
京都風光(京都寺社案内),Kyotofukoh
http://www.kyotofukoh.jp/report259.html
・『小鍛冶』について
the能.com
http://www.the-noh.com/jp/plays/data/program_037.html
・刀の部位について
名刀コレクション
http://www.nfa.co.jp/ag/keyword.html