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株本ゼミ

株本ゼミ 2025年度卒業研究要旨

2026/03/17

2025年度卒業研究要旨リンク集

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「『PERFECT DAYS』からみる価値観の変容 ―日常を生きることの意味に着目して―」

 本研究は、日本人の価値観が物質的豊かさの重視から精神的充足の重視へ移行した過程を踏まえ、「日常の繰り返し」がどのような意味をもつようになったのかを明らかにすることを目的とする。価値観の変容に関する先行研究を文献調査によって整理し、映画 PERFECT DAYS』(2023 年)を分析対象とした。本作では、同じ日常が繰り返されているように描かれながらも、1 日として同じものはなく、それぞれが異なるものとして示されている。こうした描写は、日々の過ごし方そのものに意味を見い出そうとする価値観の変化と捉えることができ、「日常を生きること」がどのように受け止められているのかを考察する手がかりとなった。

 

「プロ野球におけるSNS マーケティングの展開—オリックス・バファローズと福岡ソフトバンクホークスを中心に―」

 本研究は、プロ野球におけるSNS マーケティングの展開を明らかにするため、オリックス・バファローズと福岡ソフトバンクホークスの公式SNS 運用を比較分析した。近年、球団は競技成績だけでなくファンとの関係構築を重視しており、SNS は重要な役割を担っている。先行研究を踏まえ、両球団の公式SNS を対象に、2021〜2024 年の投稿内容を質的に分析した。その結果、両球団は試合情報に加え、選手やチームの日常を発信し、SNS が単なる広報を超えた存在であることが示された。また、共通点を持ちながらも球団文化や背景が発信のトーンに反映されており、文脈に応じた柔軟な運用の重要性が示唆された。

 

「仮面ライダーはどう「変身」したのか ― ヒーローの変容と悪役との関係 ―」

 本研究の目的は、2000 年 『仮面ライダークウガ』から2024 年 『仮面ライダーガヴ』までの仮面ライダーシリーズを対象に、悪役の描かれ方に注目し、ヒーローの変容を明らかにすることにある。公式設定資料や番組本編を参照し、悪役の特徴とヒーローの役割の変化を時系列で整理・分析した。その結果、悪役は社会や技術、価値観のゆがみを反映する存在として描かれ、ヒーローも単に悪を倒すのではなく、悪の背景を理解し「社会的・倫理的判断」をする存在として描かれていることがわかった。現代仮面ライダーのヒーローは、社会的・倫理的問題を提示する批評的メディアとして機能していた。

 

「コロナ禍前後における「アニメ聖地巡礼」の取り組みと交流の変容の比較検討」

 本研究は、コロナ禍前後におけるアニメ聖地巡礼の変容を交流の観点から考察することを目的とし、 桃源暗鬼』とハイキュー!!』の事例を文献やSNS、地域HP から調査した。その結果、交流の場が物理的なノートからSNS 等のインターネットへ移行し、製作側と地域の密な連携が住民の受容を促す一方、公式認定を巡る地域間トラブルも判明した。三者の相互尊重が成功の鍵であり、今後は公式との情報共有を軸とした慎重な取り組みが課題である。

 

「サンリオキャラクターの長期的な魅力構造の分析」

 本研究は、サンリオのキャラクターが長期間女性に支持される要因の解明を目的とした。企業資料や学術論文を用いた文献調査の結果、支持の核心は、幼少期の接点創出から成長後の再消費へと繋げる「ライフタイムジャーニー」の構築にあった。また、コロナ禍や推し活ブームに際し、自己表現を支えるメディアとして提供形態を柔軟に変容させた。結論として、一貫した世界観を保ちつつ、時代に即した心理的価値を提供し続けたことが長年女性からの人気を集めている要因であった。

「『もののけ姫』にみる共生思想と自然観の比較研究―日本・中国・西洋の環境観との対照から―」

 本研究は、スタジオジブリ映画 『もののけ姫』(1997 年)に描かれる自然観および共生思想を、日本、中国、西洋の環境思想と比較することで、その思想的特徴と文化的意味を明らかにすることを目的とする。本作は、人間と自然の対立を描きつつも、自然の主体性をもつ存在として表現し、単純な善と悪をはっきり分けない世界観を示している。従来の日本的自然観に着目した研究を踏まえつつ、他文化の思想との比較を行うことで、 もののけ姫』が異なる価値観で交わる中、人間と自然の新たな関係性を探す作品であることを示す。

 

「新聞報道にみるTwitter の社会的位置の変遷」

 本研究は、Twitter 社会においてどのように位置づけられてきたのかを明らかにすることを目的とし、2008 年以降の新聞記事を対象に量的分析を行う。SNS の普及が進む中、天野の SNS 変遷史』(2019)はSNS 全体の変遷を整理し、片岡らによる「Twitter では何が語られているのかーSNS の情報空間を俯瞰するー」(2024)はTwitter の情報空間を分析した。しかし、これらの研究は時代区分ごとの変化や新聞におけるTwitter の扱われ方を十分に検討していない。本研究は異なる時期の記事数を比較し、社会的背景とTwitter の評価を分析することでSNS と社会の関係性の変化を明らかにする。

 

「共感消費が買い物依存に与える影響」

 本研究は、SNS 利用で生じる「承認欲求」や「共感欲求」が購買行動に与える影響を整理し、買い物依存傾向との関連を解明することを目的とした。SNS 利用・購買行動・買い物依存に関する先行研究を対象とした文献分析を行った。心理学と消費者行動論の観点を統合し、SNS 特有の数値化された評価システムがユーザーに与える影響を検討した。その結果、SNS 上では他者からの評価が可視化されるため、自己評価が外的反応に依存しやすくなる。そして、購買行動が生活上の必要性ではなく「他者に評価される投稿」のための手段となり、買い物依存傾向を助長させる要因となり得ることが示された。

 

「時代ごとのJ-POP ヒット曲に見られる特徴とその変遷」

 本研究は1989 年から2025 年までのJ-POP ヒット曲740 曲を対象に、音楽視聴環境の変遷が楽曲構造に与えた影響を定量的に調査した。分析の結果、イントロの平均小節数は時代と共に短縮傾向にあり、特にストリーミングサービスが普及した最新の区分では「歌から始まる」楽曲が36%へと急増していた。一方で当初予想した「頭サビ」の割合は増加しておらず、即時性を担保する手法が「サビの提示」から「イントロの削除によるボーカルの即時提示」へと移行している実態が判明した。J-POP のヒット曲は、テレビ・CD・サブスクリプションと変遷する視聴メディアの特性に合わせ、その構造を柔軟に変化させてきたと結論付ける。

 

「無香料志向の広がりが日本の香水市場にどのような影響を与えたのか」

 本研究の目的は、1990 年代後半以降の日本において広がった無香料志向が、日本人の香り嗜好の変化および香水市場にどのような影響を与えてきたのかを明らかにすることである。特に、香りが「楽しむもの」から「他者への配慮を要するもの」へと再定義され、2010 年代以降には「香害」として社会問題化していく過程に注目する。新聞報道を中心とした文献調査から、香りをめぐる社会的認識の変遷を整理するとともに、シャネルの香水広告および販売戦略を事例として、日本市場における香水の位置づけがどのように変化しているのかを分析することを目的とする。

 

「新聞報道にみる摂食障害の社会的認識の変遷―過食症に着目して―」

 本研究は、1872 年から2025 年の新聞記事を対象に、日本における過食がどのように語られ、意味づけられてきたのかを明らかにすることを目的とする。記事を収集し、時代区分に沿って内容を整理・分析した。その結果、近代初期の過食は単なる「食べ過ぎ」や道徳的問題として扱われていたが、20 世紀後半以降は医療的・心理的文脈で語られるようになったことが確認された。一方で報道は拒食症中心に構成され、過食は外見変化の乏しさや自己管理能力の問題として理解されやすい点から周縁化されてきた。近年は支援の必要性も認識され始めているが、過食を社会的文脈から再検討する視点はなお求められている。

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