授業紹介・ゼミ活動
PBL
大野ゼミ
大野ゼミ 2025年度卒業研究要旨
2025年度卒業研究要旨リンク集
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「柑橘系のにおいが事象関連電位に与える影響の検討」
本研究では、認知機能に関係するとされる事象関連電位: ERPのP300に注目し、柑橘系のにおい(リモネン)およびその濃度がP300に及ぼす影響を潜時と振幅から検討した。具体的には、「無臭の空気呈示」「薄い濃度のリモネン呈示」「濃い濃度のリモネン呈示」の条件下で視覚オドボール課題を実施し、課題中の事象関連電位を測定した。オドボール課題では高頻度(Standard)刺激と低頻度(Target)刺激をランダムに呈示し、Target刺激の出現回数を数えさせ注視を促した。その結果、(1)いずれの条件でもstandard刺激時よりtarget刺激時の方がP300の振幅が大きい、 (2) 「薄い濃度」より「濃い濃度」の方がP300において抑制効果がみられた、ただし潜時には大きな違いがないこと、などを見出した。
「コバル式匂い提示による事象関連電位の比較検討」
本研究では、嗅覚刺激が鼻腔内に提示された瞬間に生じる脳波応答について、事象関連電位:ERPの変化をもとに検討した。「リモネン提示」と「無臭空気」の2種類の臭い提示条件で、息を吸ったタイミングを0秒としてERPを計測し、呼吸数を比較した。リモネン提示条件では順応が起きにくいコバル式嗅覚提示装置を使用し、被験者がリモネン臭を感じる程度の濃さで、3回の呼吸に1回、200msだけ臭いが提示される。その結果、呼吸数については個人差が大きかったものの、空気条件よりもリモネン提示条件に呼吸数が少ない傾向が見られた。ERPについては複数の被験者で特徴的な応答が見られたことから800 ~1200msに着目したところ、リモネン提示条件から空気条件のERPを引いた差分が陽性のグループが3名、明確な差分が見られなかったグループが3名、陰性のグループが3名の3群に分けられた。被験者の主観的評価である臭気強度については、差分が陽性のグループと差分が明確でないグループでは似た傾向が認められ、時間経過に伴う評価の低下や変化の減弱が観察された。一方、差分が陰性のグループでは各項目において後半での評価の上昇が見られ、他グループとは異なる特徴的な変化が観察された。
「把持動作前後の神経伝導速度の変化に関する研究―Mediracer®NCSを用いた検討―」
把持・握り動作は日常生活動作やリハビリテーションにおいて重要な基本動作であり、現場では硬さの異なる物体を用いた訓練が広く行われている。しかし、把持対象の硬さが末梢神経機能に及ぼす影響については十分に明らかにされていない。本研究では、硬さの異なる物体を把持する運動が末梢神経機能に与える影響を明らかにすることを目的とした。健常若年成人女性7名を対象に、ソフト・ミドル・ハードの3条件で2分間のグリップ運動を実施し、運動前、運動直後、安静5分後および10分後に正中神経の神経伝導速度および振幅を測定した。その結果、神経伝導速度はハード条件において測定時点間で有意な変動が認められたが、振幅はいずれの条件でも有意な変化は認められなかった。以上より、把持対象の硬さは末梢神経機能に影響を及ぼす可能性が示唆され、リハビリテーションにおける把持運動の負荷設定に有用な知見を提供するものと考えられる。
「「運動での皮膚温上昇」と「物理的な皮膚温上昇」が神経伝導速度に及ぼす影響の比較」
神経伝導速度は末梢神経機能を評価するために広く用いられる指標であり、特に皮膚温の影響を受けることが知られている。しかし、皮膚温を上昇させる方法には運動や温熱器具による加温など複数のものがあり、それらの違いが神経伝導速度にどのような影響を及ぼすかについては、十分に整理されていない。本研究では、皮膚温上昇の手段の違いに着目し、運動による皮膚温上昇と物理的な皮膚温上昇という二つの条件を設定した。各条件下で皮膚温および神経伝導速度を測定し、その変化を比較した。その結果、運動条件では神経伝導速度のみが運動終了5分後に有意に増加したのに対し、物理的条件では皮膚温および神経伝導速度が加温終了直後に有意に増加した。これらの結果から、神経伝導速度の変化は皮膚温の上昇量だけでなく、その時間的変化や生理反応の違いに影響される可能性が示唆された。
「足底および腕への振動刺激が体性感覚処理と中枢神経活動に及ぼす局所的・遠隔的効果の検討」
体性感覚入力を変調させる要因の一つとして振動刺激が知られており、感覚処理や中枢神経活動に影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし、その作用機序については十分に解明されていない。本研究では、拇指への皮膚刺激によって評価される足底体性感覚に着目し、同一領域である足底への振動刺激による局所効果と、異なる身体部位である腕への振動刺激による遠隔効果を比較検討することを目的とした。検討項目として、行動指標(感覚閾値、反応時間、正答率)および脳波の事象関連電位(ERP)を用いた。その結果、足底振動では、振幅など振動特性の違いに応じて感覚閾値や脳波応答に個人差が認められた。一方、腕振動では、行動指標に一貫した変化はみられなかったが、ERPの時間特性に共通した変化が確認された。以上より、局所刺激と遠隔刺激では、足底体性感覚に及ぼす影響の現れ方が異なる可能性が示唆された。
「柑橘系の匂いとその主観評価による事象関連電位の変化」
本研究は、柑橘臭リモネンを嗅覚順応が起きにくい状況で断続的に提示し、被験者の主観的な評価である臭気強度と事象関連電位P300の関係を刺激臭原液の濃度別に無臭空気提示の場合と比較検討したものである。実験中の注意力を揃えるため視覚オドボール課題を科し、事象関連電位を解析した結果、被験者がリモネン臭を明確に感じている場合は、刺激臭原液濃度にかかわらず明らかなP300の抑制が見られた。一方、リモネン臭を感じない/ほとんど感じない場合は、刺激臭原液が薄い場合は無臭空気提示とほぼ同じ結果でP300の抑制は明確でなかったが、濃い場合は被験者数が少ないこともあり結果にばらつきがみられ、安定しない結果となった。

