赤岡仁之教授ゼミの3年生13名と井上重信講師ゼミの3年生6名が、Mラボ「課題解決ラボ」(主催:兵庫県、神戸新聞社)に参加し、平成29年10月28日(土)に神戸ハーバーランド・スペースシアターで開催された公開プレゼンテーションに出場しました。
Mラボとは、大学生と地域企業のマッチングを目指す事業で、神戸新聞社と兵庫県中小企業団体中央会が実施主体となっています。Mラボの中核事業の1つに「課題解決ラボ」があります。この「課題解決ラボ」は、兵庫県内の中小企業が抱えるさまざまな経営課題について、大学のゼミ単位で調査研究してアイデアを提示するプロジェクトです。ゼミの専門性を生かし、学生の視点で課題解決を目指す事業として2013年から始まりました。今回は10企業の課題について、調査・研究を進めてきた11大学、20ゼミ、約230名の学生が20チームに分かれ、研究成果を発表しました。
赤岡ゼミは「明石海苔」の加工製造販売業を手掛けている株式会社鍵庄とのマッチングが決まり、井上ゼミは「駅そば」で有名な姫路の老舗企業のまねき食品株式会社とのマッチングが決まりました。
赤岡ゼミの課題研究テーマは、「伝統的海苔市場におけるニッチャー企業のマーケティング戦略」。株式会社鍵庄は、兵庫県明石市にある明石海苔の加工製造販売を行っている会社で、「一番摘み」の明石海苔を使用した高級海苔を販売しています。
ゼミ生全員で5月末に本社を訪問し、会社の歴史や現在の事業・課題の説明を受けました。説明を受けたゼミ生たちは様々な世代の男女にプレアンケートを実施。そこから、株式会社鍵庄は地域密着型企業であるため地元以外での認知度が低いことと、海苔=ご飯のお供という汎用性の低さが課題であると設定し、海苔をご飯のお供ではなく、海苔を主役としたマーケティング戦略を考案しました。
ゼミ生はその案を8月に行われた中間発表で発表。そこで、審査員の方々から様々な質問を受け、その質問をヒントにし、更にゼミで何度も話し合いと検討を重ね、顧客ターゲットと戦略の方向性を固めていきました。最終的には、株式会社鍵庄の認知度の向上ならびに海苔を食べる習慣を増やすことを目的に、栄養価が高く・低カロリーな海苔に着目して、顧客ターゲットを美容・健康に関与の高い老若男女としました。そして、株式会社鍵庄の強味である微粉末技術を用いて、色々な味付けがされた海苔と、野菜・お肉・海鮮など様々な食材を自由にカスタマイズして一緒に食べるという「ノリタマイズ」をコンビニで販売するという提案に至りました。
一方、井上ゼミの課題研究テーマは、「コト消費から見る『Hi! me café』のブランド価値創造とバウムクーヘンのプロモーション戦略」。まねき食品株式会社は、兵庫県姫路市に本社を置く弁当・懐石料理などを中心とした外食産業企業で、明治21年より創業している老舗企業です。6月頃にゼミ生全員で本社を訪問し、まねき食品株式会社についての説明と、同社が新たな飲食店として始めた「Hi! me café」のイチ押し商品である「バウムクーヘン」を手土産の定番としたいという要望や、この「Hi! me café」の認知度を向上させ、若者が行列を作るカフェにしたい、インターネットをさらに活用したいという要望を聞きました。説明を受けたゼミ生たちは、その要望を持ち帰って、バウムクーヘンの市場性を確認するために外国人と日本人にアンケートを行い、それらの結果をもとにマーケティング戦略を考案しました。
ゼミ生はその案を8月に行われた中間発表で発表しましたが、審査員や企業の方より「もっとターゲットを絞ったほうがいい」などのアドバイスを受けました。その後、「Hi! me café」の店舗がある姫路にてアンケート調査を行ったところ、姫路では外国人観光客があまりいないということがわかりました。この結果と中間発表でのアドバイスを踏まえて、ゼミで何度も話し合いをし、検討を重ね、10代後半から20代の日本人の男女をターゲットとして方向性を固めていきました。その結果、食べること以外で消費者に驚きや感動を与え、SNSのクチコミによる話題性でのプロモーションと、老舗店舗だからこその新しいものへのチャレンジということに着目して、今までにないドローンで手土産を配達するという「そら土産」の提案に至りました。
そして両ゼミは、平成29年10月28日(土)に神戸ハーバーランド・スペースシアターで開催された公開プレゼンテーションに挑みました。
両チームとも、惜しくも入賞を逃してしまいましたが、赤岡ゼミ生たちは「大勢の人の前でプレゼンすることができてとてもよかったです」「企業の方とコミュニケーションをとりながら、その企業の課題を解決していくという貴重な体験をすることができました」と話し、井上ゼミ生も「市場性のアンケートをする際に、英語、中国語、韓国語、日本語の4か国語で調査を行い、『ドローン』という実現性があまり感じられない提案を限られた発表時間の中でいかに伝えるかということなど、自分の考えていることを相手に伝えることの難しさを学ぶことができたので、次に活かしていきたいと思います」と話してくれました
今回の参加は、実際の課題解決を通じて、社会人基礎力の向上にも役立つ、貴重な経験となりました。
伝統的海苔市場におけるニッチャー企業の
マーケティング戦略
赤岡ゼミ 発表の様子
赤岡ゼミ3年生と株式会社鍵庄
コト消費から見る「Hi! me café」の
ブランド価値創造とバームクーヘンの
プロモーション戦略
井上ゼミ 発表の様子