授業紹介・ゼミ活動
PBL
福井ゼミ
福井ゼミ 2015年度卒業研究要旨
企業で活かせるホスピタリティ
高度経済成長期の大量生産、大量消費時代を経て、今日はモノが溢れ、人々は商品を選ぶ時に性能や技術以上の満足感を重視するようになった。ホスピタリティとは、他者に思いやりをもって行動することで、相手に喜び、感動を与えること。つまりおもてなしをすることである。本研究では、今日の競争社会の中で、サービス業以外の職種でもホスピタリティが注目すべきことを提案したい。ホスピタリティの重要性を明らかにするために、3つのIT企業における取り組み事例を調査した。その結果、ホスピタリティを顧客へ提供するためには、まず各社員にホスピタリティ行動を実行してもらうための仕組みづくりが必要であること、それが顧客満足度につながり、企業の成長につながることが分かった。以上により、企業がホスピタリティを活かす方法としては、(1)上司から部下へのフローを明確に伝える仕組みづくり、(2)社員の自己実現をサポートする環境を重視すること、(3)企業理念や社風を製作する過程が重要であることを提案する。
キーボードによるLEGOロボットの遠隔操作
近年、災害現場から日常生活まで、様々なところで遠隔操作技術が使われている。本研究では、LEGO MINDSTORMS EV3のアーム型ロボットをMacPCからBluetooth通信によって遠隔操作できるプログラムを開発した。このプログラムはコントローラーにキーボードを使用しており、対象のキーにロボットのベースの左右、アームの上下、ハンドの開閉という3つの動きを割り当て、自在に操作できるようにした。ボタンを押してから実際にロボットが動くまで多少のタイムラグはあるが、本研究の目的であるアーム型ロボットの遠隔操作に成功した。
HTML5によるスマホで動く絵本
本研究は平成21年度卒業研究「iPhoneアプリケーションによる絵本」を改良したものである。完成した絵本の特徴は、(1)端末を問わず利用でき、(2)作品の中にデジタルならではの要素であるアニメーションを取り入れ、(3)アナログの絵本により近い暖かみのある絵を表現したところである。大学2年生11人に評価してもらったところ、「子供に薦めたい」、「親しみやすい絵で年齢問わず多くの人が楽しめる」と好評であった。今度、実際に幼児の反応を見て新たに改良を加えることでより良いアプリケーションになることを期待したい。
JavaScriptによるリズムタイピングゲーム
ゲーム開発に興味のあった私たちは、リズムゲームの人気に注目し、またそれの楽しさによる継続性を狙い、身に付くものとしてタイピングソフトと組み合わせたリズムタイピングゲームを開発したいと考え、取り組んだ。本システムは、Webブラウザ上で動作するWebアプリケーションで、VOCALOID(初音ミク)が歌う「武庫川学院歌」に合わせたタイミングで、ランダムに表示される文字をタイピングするゲームとなっている。
JavaScriptによる数式処理パッケージの開発— 多倍長整数演算から多項式微分・積分 —
近年、数式を直接回答できる数学eラーニングシステムが使用できるようになってきた。しかし、その数式解答の採点には数式処理システムが使われており、教育者が問題を作成するためにシステムやプログラミングの知識が必要で敷居の高いものになっている。そこで、数学教育に特化した独自の数式評価エンジンを開発することによって、教師の負担を軽減することを目指している。そこで、代数学で確立している数式評価アルゴリズムをオンライン可能のHTML5(JavaScript)で実現するために、多倍長整数の四則演算、応用演算、有理数演算、多項式演算をJavaScript言語で実現した。これにより実際の教科書に載っている高校二年生レベルの微分、不定積分、定積分の演算が行えるようになった。
音声認識による料理レシピ閲覧アプリ
本研究は、平成16年から19年度の卒業論文「音声対話による料理支援」の取り組みを発展させたもので、音声認識によってレシピページを操作できるシステムを開発した。本システムの特徴は、(1)パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットのWebブラウザで使用でき、(2)音声命令のみでページ操作ができ、(3)ネットから料理レシピが入手できる点にある。音声認識エンジンには、Google提供のWeb Speech APIを、HTML5(JavaScript)を使って利用した。学生10人の評価の結果、「実際に料理に使ってみたい」など期待度は高かったが、音声認識の精度が悪く実用面で課題が残った。
スマートフォンカメラによる文字認識の研究― 賞味期限管理アプリを目指して ―
本研究では、賞味期限管理アプリの礎となる文字認識エンジンの制作に取り組んだ。文字認識には、スマートフォンカメラによって撮影された既知の文字(0〜9の数字)ピクセル画像の特徴を機械学習技術によって訓練し、ロジスティック回帰アルゴリズムを使って予測させる。5種類のフォント文字に対する影のない正面撮影で認識テスト(50サンプル)を行った結果、100%の認識率を得た。しかし、撮影条件が悪いと認識できない場合があるので、この改善が今後の課題である。
オープンキャンパス支援のAR学科紹介アプリの制作
大学全入時代に入り、各大学のオープンキャンパスでは様々な創意工夫がされている。本研究では、本学科のオープンキャンパスをより良くするために、拡張現実(AR)を用いた学科紹介アプリを制作し、実際に利用してもらった。廊下の展示スペースに置かれた教科書にスマートフォンのカメラをかざすと、その授業で学生が制作した作品が重畳表示される。オープンキャンパスに参加した教員へのインタビューや学生への評価実験でも概ね良い評価を得ることができた。